先日、定期健診に来られた70代の患者さんの口腔内を診ていたところ、フロス、歯間ブラシともに使用しておられとても綺麗に磨けていたのにもかかわらず、以前にくらべて着色汚れが目立っていました。
不思議に思い尋ねてみると、最近になって歯磨き粉を使うのをやめたとお話しして下さいました。
歯磨き粉で歯が削れると聞いたので使用をやめたそうです。
実際、歯磨き粉には研磨剤が含まれているものもあります。
研磨剤にはリン酸カルシウウム、水酸化アルミニウム、無水ケイ酸などが用いられています。
実験してみれば、たしかに研磨剤は歯面を削りますが、一生涯使用しても健康障害が出るほど削れることはありません。
それよりも、歯ブラシの毛の硬さやブラッシング圧の方が研磨性に影響します。
歯磨き粉の歯面研磨性(RDA)は象牙質に対する研磨力の評価で、世界的には250以下と基準化されており、日本では150以下と低く設定されています。
ただし、RDAの測定は、決められた歯ブラシを用いて基準化された力でどれだけ象牙質が削れるかを示すものです。
実際のブラッシングにおいては、硬い毛の歯ブラシで強い力で磨いたり、研磨剤の粒子が硬いと象牙質へのダメージは大きくなります。
歯磨き粉の中には研磨剤無配合のジェルタイプもあり、歯根露出や知覚過敏で歯面への刺激を抑えたい患者さんにお勧めです。
患者さん一人一人口腔内の状態は異なり、おすすめの歯磨き粉や歯ブラシは異なってきます。
興味を持たれた方は、担当の歯科医師、歯科衛生士にお尋ねください。
彩都歯科クリニック